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オルタード・カーボン リスリブート 感想(ネタバレあり)

普段このブログは自分のプレイしたゲームと小説のメモを目的としているブログなので、アニメの感想を書くつもりは無かったのですが、個人的に刺さるような作品だったので、布教ついでに感想を書きたいと思います。


まえがきついでに解説を書くと
「オルタード・カーボン リスリブート」2020年公開のネットフリックスオリジナルアニメでタケシ・コヴァッチという人物が主人公の「オルタード・カーボン」「ブロークン・エンジェル」「ウォークン・フュアリーズ」からなるタケシ・コヴァッチ三部作の約250年前を描く外伝的作品です。
なお、オルタード・カーボンとブロークン・エンジェルはネットフリックスでドラマ化されているので、リスリブートを見る前に視聴することを強くオススメしたいと思います。タケシ・コヴァッチシリーズは固有名詞が多く、その中でもリスリブートは世界観を知っていることを前提として作られている印象を受けました。

ストーリー(ネタバレなので反転)

 

 物語は、ヤクザの構成員に追われた少女が忍者スリーブに殺されそうになる所を、タケシコヴァッチが助けるところから始まります。

コヴァッチは今回の依頼主である「タナセダ・ヒデキ」から、RDしたタナセダの弟は水元組の2代目組長で、組織交代の儀式と例の少女入れ墨彫り師のホリーが弟の死の謎のカギを握っていると言われます。
水元組の元に向かう最中にCTACと忍者スリーブに襲われ、CTACの「ジーナ」と一時的に手を組むコヴァッチ。無事水元組の拠点である「ワイルドギース」にたどり着く一行
そこで、時期組長の「シンジ」が今回の忍者スリーブを操っており、クーデターを企んでいるらしい事が発覚します。

場面が変わり、ジーナが入れ墨を彫る場面で組長のケンゾウが言うには、ラティマーで水元組が最大のヤクザになれたのは、先代が仁義を守り、RDすることで自浄作用を作り出しているからだそう。
ケンゾウに呼び出されケンゾウの元に向かうコヴァッチ。またまた現れたサイボーグ忍者に大量の構成員を殺され、苦しくもサイボーグ忍者を撃退するが、ジーナが負傷してしまう。

治療とタナセダへの報告もかねて部屋に戻るコヴァッチ達、VRでタナセダにケンゾウは鶏の首を〆たような笑い方をする。と他愛も無い話をすると、何かを察して激昂するタナセダ。コヴァッチに追加の調査を依頼する。

儀式当日、鴎外に呼ばれてフロントに行くと、突如建物が揺れて停電し、急に消えるジーナ。どうやらケンゾウとホリーはグルで、シンジを眠らせてシンジのスタックの中身を消去し、ケンゾウのスタックをシンジの生体スリーブに移し就任式を強行する。

タナセダのホロが現れて、代替わりしているのではなくスリーブを乗っ取っているだけという事実を暴露する。そしてケンゾウは強化外骨格を使用し、コヴァッチやり合うが、なすすべも無く負けてしまう。
そこに現れる生身のタナセダ。ちょっとしたトリックにより鴎外を仲間につけてケンゾウを圧倒する。倒したと思われたが死にきらずにコヴァッチと殴り合い勝利するコヴァッチ。そしてコヴァッチは次の任務に向かうのだった。

            ストーリーここまで

 

 

感想

 

この作品にはオルタード・カーボンの世界観およびサイバーパンクへの深い愛が感じられる分が多数あったので、いくつか書きたいと思います。


まず初めに世界観です。タケシコヴァッチシリーズは世界観がいくつかあって、その中でもあえてサイバーパンクの世界観をチョイスしたのは、個人的にとてもシビレました。
しかもそのサイバーパンクな世界観はきちんとオルタード・カーボンを世界観のツボを抑えており、オルタード・カーボンがそうであったように、ブレードランナーにインスパイアされている、きらびやかなネオン街なのがとても良かったです。

 

音楽面では開始早々で少女がヤクザの構成に追われる部分で流れる音楽。分かる人には分かると思いますが、これは1995年に制作された押井守監督版のGhost In The Sell/攻殻機動隊で使用された謡を彷彿とさせます。

ヤクザを出すから形だけ日本ぽくネオンの漢字看板でも出しときゃいいよ!的なノリかと思えば

攻殻機動隊までもリスペクトする精神に驚きました。CTAC兵であるジーナの髪の毛の色が紫なのももしかしたら・・?

 

登場人物の面で見ても、ブロークン・エンジェルで登場するタナセダが出てきて、何故ブロークン・エンジェルの時点でコヴァッチに貸しがあったのか、その説明的役割を果たしていたり、ジーナの本当の名前はレイリーン・カワハラ(コヴァッチの妹)でCTAC時の活躍を拝めたり、余計な人物を出さずに最低限の登場人物で世界をキレイに回していた感じがした点もかなり高評価だと思います。

 

作品中のストーリー上のネタについても、コヴァッチのスリーブは最上級の物でニコチン中毒だったり、原作でのポーのように重要ポジションにAIを置く、AIホテルの管理人が敵対勢力に対して銃を乱射する。旅館の管理AIが鴎外という名前だからか、案内された部屋の名前が「ヰタ・セクスアリス」であるなどなど…。抑えるツボは抑えたと感じられる素晴らしい出来に思えました。

 

総評

中編ストーリーということもあり、駆け足感は否めない(これは尺の問題なので作品のせいでは無いけれど)のと、未来版龍が如くと揶揄される位のヤクザものなので若干好みは分かれそうですが

タケシ・コヴァッチシリーズが好きな方には絶対に見て頂きたいと思える作品で、なんだったらサイバーパンク好きの方は、この作品を見てから、オルタード・カーボン。ブロークン・エンジェルと見進めて頂いてから、もう一度リスリブートを見ると違った視点からこの作品を見れるので2度オイシイかもしれません。

短いですが以上です。お読み頂きあがとうございました。